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写真の個体はオスだが、触覚はご覧のようにクシヒゲではない。『世界昆虫記』のエイリアン写真で有名な「トビエダカマキリ」は本種なのだろうか。だったらそちらの名で呼んだ方が良い気がする。

体長5cm少々。本種は『大昆虫記』に「マレークシヒゲカマキリ」と紹介されており、それゆえかショップで「クシヒゲカマキリ」の名で売られていたりする。クシヒゲじゃないけど。

写真のオスは現地の人から購入直後、やらせ写真を撮ろうと手近な草にとまらせたら、パタパタパタ〜と大型のカゲロウのように軽やかに飛び、手の届かない木の梢にまで逃げられた。あわてて携帯用の捕虫網で再捕獲し事なきを得たが、捕虫網をリュックから取り出して組み立ててる間、その見事な擬態のために見失わないか気が気でなかった。

これに懲りて以後、購入した生き物を野外でやらせ撮影する事は控えて、もっぱら臨場感は無いが逃げられる心配の無いホテルの部屋で撮影する事にした。

腹部のキノコを模しているらしい白い部分がチャームポイント。小型種ながらなかなか美しくも面白いカマキリだ。

今回の旅行では、売られていたオスを2匹手に入れただけでメスは見ていない。

写真の個体は狭い袋に入れられて角が曲がってしまっていたし、もう1匹の方は標本用だったのか、三角缶にぎっしり詰まった三角紙の中にチョウに混じってに入れられていて中脚が1本取れて半死半生といった具合で、入手したどちらの個体もコンディションが良くなかったので、持ち帰るか悩むまでもなく滞在中にあっさり死んでしまった。